911から始まった
そういえば、この「もうひとりのためのメディア」は911直後よりスタートした。
ちょくちょくシステム変更したり、休止したりとかで消えていた一番最初のエントリーを再掲載。
★3年たったいまとなっては「キノコ雲映像」は色あせてませんね。
★華氏911:内容は噂の真相だった。911とブッシュの組み合わせはあまりにも空しすぎる。
あの映像
P-MEDIA独立を決めた直後、あの映像が目に飛び込んできた。もちろん、9月11日のニューヨークでの出来事だ。かつて、6年ほど前に某都庁舎が崩れ落ちるCG映像を作ったことがあったという意味では既視の映像であったわけだが、さすがに夜半までTVでのリピート映像を眺め続けることとなった。私たちが作った映像はファンタジーである。今回のニューヨークでの出来事も、テレビでみている限りファンタジーであり、私たちが作成した映像と比較する事ができないほど美しかった。
かつて上山昭博が作った「アトムの時代」美術出版社刊1994という写真集があった。原水爆のキノコ雲写真を集めた本だ。頁をめくる度に現れる巨大なキノコ雲映像。読者は圧倒され続ける写真集である。帯にはお茶の水博士のご子息、手塚真が「その色、その形に圧倒される。彼岸に咲く華の美しさに震えよう。これはあの世のビジュアルだ。」と書いていた。
長い時間、歴史をみれば、あらゆる戦闘行為、戦争は等価である。「アトムの時代」で20世紀を圧倒したかに見えた巨大技術、国家。でも、でかくなれば、なるほど、もっとでかくしたくなる。でも何に対応するためにでかくするのか...
当たり前だけど、その「でかいもの」が嫌いな人たちのテクも研ぎ澄まされて、結晶化してくる。弱小クラブがビッククラブと戦うときには、相手の力やシステムを利用するカウンター攻撃が必須となる。これはサッカーの基本である。
さらに、システムやプロセスを破壊するためのファールだったり、再三の抗議、シミュレーションなどを繰り出し立ち向かう。そして、まれに、とんでもなく美しいカウンター攻撃が決まり、ビッククラブを悲嘆の底に突き落とす。無勢の勝利はまさしくファンタジーである。
ニューヨークにそびえ立つ、他を圧倒する巨大な高層ビルが崩壊する映像は、現在の私たちに何をもたらすのか。再出発の準備をすすめていた私にとっては、すでに「アトムの時代」に集められたあのキノコ雲映像がちょっと色あせて見えてきたことは事実だ。
book | 2004/09/11